孤影 ― 砂の礼節 ―
夜が深まるにつれ、世界は平坦になってゆきます。
私を包むこの空気には、もう何の湿り気も残されてはおりません。
ただ、乾いた風が、私の頬を他人事のように撫でていくだけです。
私を包むこの空気には、もう何の湿り気も残されてはおりません。
ただ、乾いた風が、私の頬を他人事のように撫でていくだけです。
かつて守ろうとした約束も、いつか流したはずの涙も、
すべては遠い砂漠の出来事のように思われます。
私には、誰かを恨むほどの熱も、
自分を許すほどの寛大さも、持ち合わせてはいないのです。
すべては遠い砂漠の出来事のように思われます。
私には、誰かを恨むほどの熱も、
自分を許すほどの寛大さも、持ち合わせてはいないのです。
差し出した手は、空(くう)を掴むためにあるのではありません。
ただ、そこにある空白を確かめるために。
私の輪郭は、この冷えた闇と同化し、
私という存在さえ、ひとつの記号へと削ぎ落とされてゆきます。
ただ、そこにある空白を確かめるために。
私の輪郭は、この冷えた闇と同化し、
私という存在さえ、ひとつの記号へと削ぎ落とされてゆきます。
「さようなら」という言葉すら、贅沢に過ぎるのでしょう。
何も持たず、何も残さず。
私はただ、一歩ずつ、確実な沈黙の方へと歩みを進めます。
何も持たず、何も残さず。
私はただ、一歩ずつ、確実な沈黙の方へと歩みを進めます。
私の背後に伸びる影。
それは、私に従順な、唯一の沈黙です。
どうぞ、お構いなく。
私はこのまま、夜の終わりを見届けに行くだけですから。
それは、私に従順な、唯一の沈黙です。
どうぞ、お構いなく。
私はこのまま、夜の終わりを見届けに行くだけですから。