眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

悲しみのDeep River3

日記

真夜中のダイナー。
冷めきったコーヒーの表面に、
安っぽいネオンが毒々しく揺れている。
俺の向かい側には、座るはずのない影。
「Deep River(深い河)か……」
誰かがジュークボックスに投げた硬貨が、
古ぼけたブルースを呼び覚ます。
低く這うベースの音は、
都会の地下を流れる汚濁した川の底を叩くようだ。
悲しみってやつは、
バーボンのショットグラスに似ている。
一気に飲み干せば喉を焼くが、
胸の奥に溜まった澱(おり)までは流しちゃくれない。
河の流れは、すべてを海へ運ぶという。
だが、俺たちの罪や、
あの夜に失くした約束や、
消えちまった女の香水の匂いは、
この深い河の底で石のように沈んだままだ。
窓の外、雨が降り始めた。
アスファルトを叩く雫が、
逃げ場のない男たちの足跡を消していく。
俺はコートの襟を立て、
勘定をテーブルに残して席を立つ。
背後で止まらないブルースが囁く。
「お前もまた、この河の一部に過ぎない」と。
夜はまだ、深い。
Deep River。
この悲しみを飲み込むには、
あいにく、この河は深すぎた。


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