眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

異郷の夕映え

ココロとカラダ

長崎の、あの切り立ったオランダ坂を登りながら、わたくしは春の夕陽に、ただ、溜息をつくばかりでございました。
石畳の道は、まるで誰かに磨き上げられた鏡のように、斜めからの陽射しを照り返しております。
そこを歩くわたくしの影は、ひどく細長く、不格好に伸びて、まるで異国(いこく)の迷子のように頼りなげでございます。
ふと見上げる西洋館の、あの古びて、それでいて気高い窓硝子。
その奥には、わたくしの決して知ることのない、静かな、正しい生活が営まれているのでしょう。
窓辺を縁(ふち)取る白ペンキの剥げた跡さえ、わたくしには、高貴な方の隠しきれない 愁(うれ) いのように、美しく、眩しく感じられてならないのです。
「ああ、わたくしは、ここでもやはり異邦人なのだ」
坂を下りてくる見知らぬ方と、会釈(えしゃく)を交わす勇気もございません。
わたくしはただ、異国の情緒という美しい衣をまとったこの街で、一人、自身の卑屈さを噛み締めるのでございます。
春の日は、西洋館の屋根を 薔薇(ばら) の色に染め上げ、やがて港の底へと沈んでゆきます。
どうか、このまま夜が、わたくしの不調法な姿を、古びた洋館の影と一緒に、深く、優しく、 覆(おお) い隠してくださいますように。


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