眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

終幕の汽笛

ココロとカラダ

桜の降り積もる墓標の陰で、わたくしがそうして、甘い絶望の淵を彷徨っておりますと、
不意に、遠い港の方から、低く、重々しい汽笛の音が響いて参りました。
ボーッ、という、あの心臓を直接掴まれるような響き。
それは、わたくしのような不調法な人間をも、無理やりにこの現世(うつしよ)へと引き戻そうとする、無遠慮な呼び声のようでございます。
あの船は、どこへ向かうのでしょうか。
確かな行き先を持ち、海図を広げ、波を掻き分けて進む鋼鉄の塊。
それに引き換え、わたくしの歩みといったら、この石畳の坂道さえ、どちらへ向かえばよいのか分からぬ始末なのです。
汽笛が消えたあとの静寂は、先ほどよりもいっそう深く、冷ややかに、わたくしを包み込みます。
ふと見下ろせば、港の街にはポツポツと灯が点り、人々の営みが、まるで小ざっぱりした宝石箱のように輝き始めております。
「ああ、また夜が来て、わたくしは生きていかなければならないのですね」
わたくしは、肩に積もった花びらを、ひどく申し訳ない心持ちで払い落としました。
そうして、夕闇に沈みゆく西洋館の影を背に、逃げるように、あの騒がしい街の灯の中へと、重い足取りで坂を下ってゆくのでございます。


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