眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

泥水の奇跡

日記

ピレネーの冷たい風が、コートの襟を叩く。
マッサビエルの洞窟は、
誰かの罪を飲み込んだ後のように口を開けていた。
羊飼いの娘は、幻を見たという。
俺たちの世界じゃ、そいつは「イカれてる」か
「見ちゃいけないものを見た」かのどっちかだ。
だが、彼女が指先で土を掘り返すと、
そこから溢れ出したのは血じゃなく、冷ややかな水だった。
不治の病、失った光、折れた心。
絶望という名のツケを払わされた連中が、
最後の一手を賭けてこの列に並ぶ。
奇跡ってのは、安い酒場の大当たりのようなもんさ。
全員には回ってこない。
「信じる者は救われる」
どこかの聖者が吐いた台詞だが、
俺の知る限り、救いってやつはいつも
弾丸と同じくらいの速さで通り過ぎていく。
それでも、ここの水は枯れやしない。
誰かが祈るたび、誰かが涙を流すたび、
泉は静かに、そいつの過去を洗い流していく。
奇跡が起きたかどうか、俺には興味がない。
ただ、その水を一杯飲み干したとき、
喉の奥の渇きが少しだけ、
マシになったような気がしただけさ_


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