眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

癒えない火傷

日記

左胸の少し下に
皮膚が引きつれたような 痕がある
それは 弾丸が掠めた跡でも
愛に溺れた証でもない
ただの 愚かさの焼け跡だ
かつて俺は 信じていた
「言葉」には重みがあり
「約束」には命が宿ると
そんな御伽噺を 本気で信じて
守らなくていい盾を 構え続けていた
雨の夜 差し出された傘の下に
毒が仕込まれているとも知らず
俺は 自分の心臓を
差し出すような真似をした
裏切った奴を 恨んじゃいない
ただ 自分の「純粋さ」という名の 無知が
今でも たまらなく 鼻につくんだ
「傷があるから 強い」なんて
どこの 綺麗事好きが言ったセリフだ?
傷は 傷だ。
疼き、化膿し、時折 俺に
「二度と 間違えるな」と 釘を刺す
だから俺は もう 誰も信じない
信じないことで 誰も傷つけない
この捻くれた 防御本能こそが
あの時の俺に 贈れる唯一の手向けだ
鏡の中の 自分と目が合う
「いい面構えになったな」
自嘲気味に 呟いた声は
雨の音に かき消されて 消えた


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