朝もやの汽笛

日記

バーボンの匂いと
昨夜の賭けの残骸が
トレンチコートの襟にこびりついている
港の朝は早い
冷えた空気が肺に刺さり
感情のささくれを凍らせていく
遠く、霧の奥から
男の別れのような低い汽笛が響いた
誰かが去り、誰かが残る
この街のいつもの儀式だ
ポケットの中でライターを転がす
火をつけるべきか、このまま消えるべきか
煙は朝もやに溶けて
過去も未来も曖昧になる
さよならは言わない
愛してなどいない
ただ、汽笛が鳴ったから、動くだけだ
重いドアを開け
俺は、煙と霧の中へ歩き出した
明日なんて、まだどこにもない。


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