錆びたタイプライター1

日記

真夜中のデスクで、
錆びついたレミントンが牙を剥く。
叩きつける指先には、
紫煙と安ウイスキーの残り香。
一文字打つたび、
「カチリ」と虚無が弾け、
リボンに染み込んだ過去が、
ざらついた紙の上に、血のように滲む。
剥がれ落ちた黒い塗装は、
守れなかった約束の破片。
戻らないキャリッジの重みは、
背負いすぎた罪の重さだ。
真実はいつも、行間に隠される。
インクが乾く前に、
この街の湿った風が、
書きかけの孤独を攫っていくだろう。
錆びた鉄の音だけが、
静寂を静かに、
そして残酷に、
打ち砕き続けている。


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