眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

擦れ違う影4

日記

重い扉を押し開けると、
入れ違いに、一人の女が影を落とした。
濡れたトレンチコート。
伏せられた睫毛の先に、まだ夜の名残がぶら下がっている。
彼女の指先には、
俺が捨ててきたばかりの、あの鉄の臭いがした。
言葉は交わさない。
ただ、肩がかすかに触れた瞬間、
安物の香水の香りが、冷たい朝の空気を震わせる。
それは、かつて俺が書き損じた、
古いラブレターのような匂いだ。
彼女は、俺が座っていたあの椅子に向かうだろう。
まだ温もりの残るテーブルで、
錆びついたレミントンに、次の悲劇を語らせるために。
俺は一度も振り返らず、
灰色の舗道へと、一歩を踏み出す。
この街では、誰かが物語を終えるとき、
別の誰かが、その続きを書き始める。
ただ、それだけのことだ。


#日記広場:日記