眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

真夜中の錆びた錨

日記

港の霧は、安物のバーボンのように喉に刺さる。
路地裏のスピーカーが吐き出すのは、セロニアス・モンクの気だるい旋律。
「ラウンド・ミッドナイト」——。
それは、昨日を捨てきれない男たちのための葬送曲だ。
ガントリークレーンが、重い沈黙を吊り上げている。
波止場に打ち寄せる黒い水面は、
誰かの嘘を飲み込んだまま、何も語ろうとはしない。
トレンチコートの襟を立て、
俺は最後の一本に火をつけた。
紫煙がジャズの音符に絡みつき、
午前零時の静寂に、かすかな亀裂を入れる。
女の香水の残り香か、それとも潮騒の悪戯か。
この街じゃ、思い出も錆びた錨と同じだ。
一度沈めれば、二度と浮き上がってこない。
ピアノの低音が、アスファルトを叩く雨と重なる。
「さよなら」を言うには、もう遅すぎる。
「おやすみ」を言うには、まだこの夜は若すぎる。
俺はただ、影を連れて歩き出す。
ミッドナイト——。
この曲が終わる頃には、
俺もこの街の、ありふれた風景の一部になる。


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