霧の停車場
煙るプラットホームに、境界線など存在しなかった。
錆びた鉄路の匂いと、湿った空気。
追い越していくのは、行き先のない冷たい風だけ。
錆びた鉄路の匂いと、湿った空気。
追い越していくのは、行き先のない冷たい風だけ。
改札を抜ける風の音が、
遠い日の記憶のささやきに似ているのは、
すべてを包み込むこの霧のせいだろうか。
遠い日の記憶のささやきに似ているのは、
すべてを包み込むこの霧のせいだろうか。
ずぶ濡れのトレンチコートが肩に重い。
胸の奥にしまい込んだままの言葉のほうが、
今の足取りをよほど重くさせている。
胸の奥にしまい込んだままの言葉のほうが、
今の足取りをよほど重くさせている。
遠くで、ディーゼルの唸りが聞こえる。
光を切り裂き、闇を連れてくる鉄の塊。
それに乗れば、すべてを忘れられると誰かが言った。
だが、霧が晴れたあとに残るのは、
結局、孤独な影だけであることを知っている。
光を切り裂き、闇を連れてくる鉄の塊。
それに乗れば、すべてを忘れられると誰かが言った。
だが、霧が晴れたあとに残るのは、
結局、孤独な影だけであることを知っている。
ベルが鳴る。
出発の合図か、それとも過去への決別か。
出発の合図か、それとも過去への決別か。
最後の一服を、水たまりに捨てた。
ジッと音を立てて、小さな火が消える。
……それでいい。
この街に、あたたかな光は似合わない。
ジッと音を立てて、小さな火が消える。
……それでいい。
この街に、あたたかな光は似合わない。