霧の停車場4
不意に、遠くで踏切の警報機が鳴り止んだ。
訪れるのは、耳が痛くなるほどの静寂。
訪れるのは、耳が痛くなるほどの静寂。
俺は、燃え尽きる前に消えた煙草をホームに捨て、靴の先で踏み潰した。
火種は一瞬で泥にまみれ、無意味な黒い染みへと変わる。
火種は一瞬で泥にまみれ、無意味な黒い染みへと変わる。
行き先など、どこでも良かった。
ただ、この場所ではないどこかへ。
だが、結局のところ、俺が背負ってきた空っぽの鞄が、どこへ行こうと俺を繋ぎ止める。
ただ、この場所ではないどこかへ。
だが、結局のところ、俺が背負ってきた空っぽの鞄が、どこへ行こうと俺を繋ぎ止める。
雨脚が強まり、霧はさらに深く、視界を塗り潰していく。
自分の指先さえ曖昧になるこの白んだ世界で、
俺という存在もまた、ただの湿った影に過ぎない。
自分の指先さえ曖昧になるこの白んだ世界で、
俺という存在もまた、ただの湿った影に過ぎない。
「……終わりだな」
誰に宛てたわけでもない言葉が、雨音に溶けて消える。
感情の枯れ果てた胸の奥には、怒りも悲しみも残っていない。
ただ、冷たい雨水が襟元から伝い落ち、
体温を奪っていく感覚だけが、唯一の生の実感だった。
感情の枯れ果てた胸の奥には、怒りも悲しみも残っていない。
ただ、冷たい雨水が襟元から伝い落ち、
体温を奪っていく感覚だけが、唯一の生の実感だった。
俺は歩き出す。
線路の先にあるはずの未来も、背後に捨ててきた過去も、
すべてはこの深い霧の底に沈めて。
線路の先にあるはずの未来も、背後に捨ててきた過去も、
すべてはこの深い霧の底に沈めて。
夜はまだ、明ける気配を見せなかった。