眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

亡き、三角屋根の駅舎

人生

霧の向こう、雨の向こう。
どうしても振り払えない光景が、網膜の裏側に張り付いている。
あの日、寝台列車の窓越しに見た、彼女の濡れた瞳。
こらえきれずに溢れた雫が、駅舎の灯りを反射して、残酷なほど美しく輝いていた。
あの瞳が語っていた言葉を、俺はわざと聞き流し、鉄の箱に身を委ねた。
手渡された弁当の重みだけを、最後の絆のように握りしめて。
今も、雨が降るたびに思い出す。
あの一瞥(いちべつ)が、俺の心に消えない火傷を残したことを。
どれだけ時が流れ、駅舎の形が変わろうとも、
あの瞳の揺らぎだけは、霧に溶けることなく俺を見つめ続けている。
俺は静かに目を閉じる。
まぶたの裏に広がるのは、今も変わらず、あの夜のままの三角屋根と、
決して乾くことのない、彼女の瞳だ。

煙草の煙が、雨の冷気に混じって白くたゆたう。
俺は、もう動くことのない思い出の寝台列車に向かって、小さく唇を動かした。
「……あのお弁当、本当は、世界で一番うまかったよ」
答えは返ってこない。
ただ、雨音が激しくなるばかりだった。


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