眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

濁った琥珀の午後

日記

街角のスピーカーが吐き出すのは
聞き飽きた「サマータイム」のジャズ・スタンダード
ガーシュウィンの亡霊が
逃げ水の中で気だるそうに踊っている
ビルの影はナイフの刃先のように鋭く
焼けたアスファルトを切り裂いていた
俺はトレンチコートを脱ぎ捨てたい衝動を
火をつけたばかりのラッキーストライクと一緒に飲み込む
「……金持ちになるのは簡単じゃない、坊や」
独りごちは、湿った海風にかき消された
隣のダイナーから漂う
焦げたコーヒーと、誰かの嘘の匂い
カウンターの隅で、女が一人
塗りすぎた口紅でグラスの縁を汚している
あいつが言った「永遠」なんて言葉は
氷の溶けたグラスの底
水っぽくなったウィスキーと同じだ
一気に飲み干せば、ただ苦いだけが残る
サマータイム
赤ん坊の泣き声も、魚の跳ねる音も聞こえやしない
聞こえるのは、錆びついた扇風機の悲鳴と
俺の心臓が刻む、不器用なビートだけだ
陽が沈むまで、あと一時間
この街が闇を纏い
本当の顔を見せるまで
俺はただ、この不協和音に身を委ねることに決めた
影が伸び、サックスの音が歪む
マティーニのオリーブのように
俺の孤独は、今日もどこまでも冷たい


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