眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

独り、轍(わだち)を刻む — アウトロ —

日記

湿った灰色の朝が、街の輪郭を容赦なく剥き出しにする。
かつての恋人も、夢も、敗北も。
すべては霧の彼方へ、あるいは記憶の底へと沈んでいった。
俺はコートの襟を立て、
錆びついたバス停のベンチを一度だけ一瞥(いちべつ)した。
もう、待つべきものは何ひとつ残っていない。
エンジンの低い唸りが、静寂を切り裂いて近づいてくる。
乗り込んだ使い古しのバスは、
排気ガスの煙を吐き出しながら、ゆっくりと動き出した。
窓の外を流れていくのは、
潮風に侵食された、名前のない家々の列。
ニーナの歌声が、まだ頭の片隅で低く唸っている。
「自由(Freedom)」――それは、帰る場所を失った男に与えられる、唯一の毒薬だ。
トンネルを抜ければ、この街の霧笛はもう聞こえない。
振り返る鏡の中、
遠ざかる街の影が、一点の染みのように小さくなっていく。
俺は深くシートに身を沈め、
新しいタバコに火をつけた。
行き先なんて、どこでもいい。
ただ、この潮の匂いが消えるまで、
俺は再び、独りの荒野へとハンドルを切るだけだ。_


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