眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

午前四時のストレンジ・フルーツ

日記

アスファルトが吸い込んだ雨の匂いと
安煙草の煙が、街の輪郭をぼやかしている
午前四時。
太陽が顔を出すにはまだ早すぎるし
絶望が眠りにつくには、もう遅すぎる時間だ
安酒場の隅、埃をかぶったジュークボックスから
彼女の声が漏れ聞こえてくる
ビリー・ホリデイ。
「奇妙な果実(Strange Fruit)」を歌うその声は
喉の奥に棘を隠したまま、
都会の夜の、一番柔らかい場所を突き刺す

この街は少し、湿っぽすぎる。
トレンチコートの襟を立てたところで
孤独という名の隙間風までは防げやしない
「愛してる」なんて言葉は
昨夜のグラスと一緒に、とっくに飲み干した。
残っているのは、氷が溶けた後の
薄まりきった後悔と、わずかな琥珀色の記憶だけ。
東の空が、古い傷口のように薄っすらと赤らみ始める
彼女の声が、不意に途切れた。
針の落ちる音さえ、どこか銃声に似ている。
夜明けが来る。
正義も悪も、同じような灰色の光に照らされる時間。
俺は最後の一服を靴底で踏み消し、
光の射さない裏通りへと
重い足音を響かせて歩き出す。
おやすみ、レディ・デイ。
あんたの歌う孤独より
少しだけましな一日が、これから始まるはずだ。__


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