チュルリョーニスの画集
煙草に火をつけたが、味はしなかった。
ここには空気がない。あるのは、凍てついた銀河の残響だけだ。
ここには空気がない。あるのは、凍てついた銀河の残響だけだ。
目の前には、巨大な『レックス(王)』が座っている。
奴は何も語らない。
王座の足元で、数えきれないほどの都市が砂粒のように崩れていくのを、
ただ、退屈そうに眺めているだけだ。
奴は何も語らない。
王座の足元で、数えきれないほどの都市が砂粒のように崩れていくのを、
ただ、退屈そうに眺めているだけだ。
俺はコートの襟を立て、
『ソナタ』の連作が描く、歪んだ階段を昇る。
一段進むごとに、昨日までの記憶が剥がれ落ちていった。
罪も、愛も、湿った未練も、
この抽象的な宇宙の前では、単なるインクのシミに過ぎない。
『ソナタ』の連作が描く、歪んだ階段を昇る。
一段進むごとに、昨日までの記憶が剥がれ落ちていった。
罪も、愛も、湿った未練も、
この抽象的な宇宙の前では、単なるインクのシミに過ぎない。
「神話なんてのは、生き残った奴がつくった言い訳だ」
俺は独りごちて、リトアニアの深い森を模した影の中に身を隠す。
背後で、海の波がピラミッドの形に凝固していく音が聞こえた。
時間はもう、時計の針を動かすのをやめたらしい。
背後で、海の波がピラミッドの形に凝固していく音が聞こえた。
時間はもう、時計の針を動かすのをやめたらしい。
仕事は終わった。
俺が追っていたのは、奴の正体じゃなく、
この果てしない静寂そのものだったんだ。
俺が追っていたのは、奴の正体じゃなく、
この果てしない静寂そのものだったんだ。
闇の向こうで、新しい太陽が幾何学的な弧を描いて昇り始める。
まだ乾ききらないキャンバスの端に、
誰にも届かない手紙を書き残した。
まだ乾ききらないキャンバスの端に、
誰にも届かない手紙を書き残した。
「さらばだ。次に会う時は、星屑のたもとで。」