眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

猟犬の遠吠えが止む街で

日記

濡れたアスファルトが 街灯のオレンジを反射している
それは まるで乾ききった喉に流し込む 安物のバーボンのようだ
角のジャズバーからは ビッグ・ママの『Ball and Chain』が溢れ出し
重たい鎖を引きずるような歌声が 重い霧を切り裂いていく
彼女のシャウトは 祈りというにはあまりに荒々しく
叫びというには あまりに深い絶望を孕んでいた
俺はコートの襟を立て 煙草に火を点ける
紫煙が 湿った空気の中に 束の間の迷路を描いて消えた
この街では 正義なんて言葉は 錆びついた看板と同じだ
誰もが見上げては通り過ぎ 誰もその意味を信じちゃいない
聞こえるのは 腹を空かせた野良犬の唸り声と
運命に裏切られた男たちの 乾いた笑い声だけだ
「あんたは 猟犬(ハウンド・ドッグ)か? それとも獲物か?」
ビッグ・ママが問いかける
答えなんて 最初から決まっているのさ
俺たちは皆 終わりのないブルースのリズムに合わせて
泥濘(ぬかるみ)の中を ただ歩き続けるしかない
雨足が強くなる
歌声が 街の沈黙に飲み込まれていく
俺は 灰皿も持たずに 闇の中へと一歩を踏み出した_


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