眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

遠い追憶2

日記

庭に散らばった赤い花弁が、月光に照らされて濡れている。
そのあまりに潔い散り際を見て、私はまた、彼女を思い出していた。
母は、嵐のような女だった。
誰の手にも負えず、誰の所有物にもならず、
ただ自分だけの棘を武器に、この荒野のような街を駆け抜けた。
その唇と同じ色のバラが、今、静かに土へと還ろうとしている。
「永遠なんて、退屈なだけよ」
タバコの煙越しに笑った、あの強気な瞳。
母が去ったあとの世界は、火が消えた暖炉のように冷え切っている。
だが、散ってもなお、その場所には母がいた「熱」がこびりついて離れない。
俺はグラスを傾け、夜風に問いかける。
自由になれたのか、それとも、まだどこかで燃え続けているのか。
答えの代わりに、最後の一片(ひとひら)が足元に落ちた。
さよならは言わない。
この胸の痛みが続く限り、母の「赤」は、俺の中で決して色褪せることはないのだから。


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