遠い追憶3
記憶という名の地図が白く塗りつぶされ、
見えない敵がその体を蝕んでいっても、
母は、最後まで自分を見失わなかった。
見えない敵がその体を蝕んでいっても、
母は、最後まで自分を見失わなかった。
その証拠が、この庭に咲き誇る赤いバラだ。
言葉が指先からこぼれ落ち、景色が霞んでいく中で、
母が土を耕し、注ぎ続けた「愛」という名の熱量。
それは病魔ですら、決して奪うことのできない聖域だった。
言葉が指先からこぼれ落ち、景色が霞んでいく中で、
母が土を耕し、注ぎ続けた「愛」という名の熱量。
それは病魔ですら、決して奪うことのできない聖域だった。
今、赤い花弁が静かに風に舞っている。
それは敗北の散り際ではない。
重い鎧を脱ぎ捨て、自由な魂となって、
愛した土へと還っていくための、誇り高きパレードだ。
それは敗北の散り際ではない。
重い鎧を脱ぎ捨て、自由な魂となって、
愛した土へと還っていくための、誇り高きパレードだ。
「綺麗ね」
幻聴のように響く、穏やかな声。
もう痛みも、霧に覆われた不安もない。
母は今、自らが育てた花々の香りに包まれて、
永遠の静寂という安らぎの中にいる。
幻聴のように響く、穏やかな声。
もう痛みも、霧に覆われた不安もない。
母は今、自らが育てた花々の香りに包まれて、
永遠の静寂という安らぎの中にいる。
私は庭に立ち、最後の一片が落ちるのを見届けた。
花は散っても、母が遺したこの「赤」は、
私の血の中に、そしてこの庭の土の中に、_
消えない熱となって生き続ける_
花は散っても、母が遺したこの「赤」は、
私の血の中に、そしてこの庭の土の中に、_
消えない熱となって生き続ける_