眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

陽炎の街3

日記

私は震える指先で、ジッポーの蓋を跳ね上げた。
鋭い金属音が、静寂を切り裂く。
青白い炎が、モノクロ写真の端を静かに舐めた。
彼女の笑顔が、陽炎に巻かれるようにして黒く丸まり、崩れていく。
思い出という名の重荷を、自ら灰へと変えていく作業だ。
「……さよならだ。私も、あなたも」
足元に落ちた灰が、夜風にさらわれて駅の闇へと消えていく。
そこにはもう、守るべき真実も、追いかけるべき幻影も残っていない。
カメラをゴミ箱へ放り込み、私は一度だけ深く煙草を吸い込んだ。
肺を満たすのは、冷めた都会の空気と、苦いニコチンの味だけ。
胸の奥で揺れていた熱も、今、確かに引き潮のように引いていった。
出口へと歩き出す。
振り返ることはない。
明日の朝、目が覚める頃には、あの陽炎も、この痛みも、
すべては最初からなかったこととして処理される。
街は再び、何も知らぬ顔で熱を持ち始めるだろう。
だが、そのアスファルトの上に、私の足跡が残ることは二度とない。_

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