眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

星屑の停車場にて

自作小説

だれも乗せない しずかな鋼(はがね)のからだが
風に吹かれる 草の海をゆらしてゆく
銀のレエルは 天の河へと つづいて
星屑を ひとつぶずつ 窓辺にこぼした
石炭の火は 遠いむかしの 夢のなごり
錆びたバルブは やさしい溜息をつく
もう どこへも急ぐ必要はないのだと
機関車は 夜の深みに 身をまかせている
ごらん 空からこぼれた ひかりの粒が
だれもいない座席に 花のように降り積もる
それは ぼくらが わすれてきた言葉たち
青い夜の底で 列車は ひとつの楽器になり
風と 星の瞬き(まばたき)だけを 奏でて
永遠よりも もっと透きとおった 場所へゆく
     *
もしも きみが この草原にたたずみ
見えない汽笛を 耳にしたのなら
それは 星たちが ささやきあう合図
追憶のなかで ともされる 小さなランプ
客車には ただ ひんやりとした月光と
あふれるほどの 星屑が 満ちているだけ
けれど それは どんな賑やかな旅よりも
美しく さびしい ぼくらの心の肖像
ゆけよ 銀河の渚を かすめて
重たい影を 光のつぶてに かえながら
朝が すべてを 淡く塗りつぶすまで
わすれられた車輪が うたう旋律は
ぼくの いちばん やわらかな場所に届き
しずかに しずかに 眠りを誘うのだ_


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