眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

春の陽炎のなかで

小説/詩

野原のすみで 光の糸が もつれあえば
春の陽炎(はるひがえり)は ゆらゆらと 立ちのぼる
そこに だれもいないはずの 汽車がいて
銀色の吐息を 空に ほどいてゆく
見つめれば 風景は 淡い水彩のよう
鉄の重みも わすれられた 古い切符も
みな 陽光(ひかり)のなかに 透きとおって
どこまでが 夢なのか ぼくにはわからない
星屑を 夜のあいだ 運んでいた車輪は
いまは やわらかな草の波に くるまれて
しずかな 午後の微睡(まどろみ)を むさぼるだけ
ああ ぼくの心も あの陽炎に まじり
形をうしない 青い空へと 昇ってゆきたい
だれもいない客車の いちばん光る 窓になって


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