眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

窓のうちの風信子

自作小説

あかるい窓を ひらいておけば
五月の風は ひたひたと満ちて
机のうえの ガラスの瓶に
青い火をともす 花があった
それは うたをうたふには
あまりに しづかすぎる色をして
過ぎゆく時間の きらめきのなか
誰かの溜息を 吸ひこんでいる
忘れたいことが あるわけではなくて
ただ おぼえていることが かなしいのだ
風にゆれる うすむらさきは
とほい空の わすれものみたいに
いつか 僕がもういなくなつても
この部屋には あかるい陽がさし
見知らない誰かが また窓をあけて
五月の風を ゼリーのやうに味わふだらう


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