眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

5月のストレンジャー

日記

五月の風は、俺のスーツをすり抜けて、
過去の疼きを冷やしていった。
窓の外、濡れたアスファルトが夕陽を吸い込み、
街は静かに、記憶の澱(おり)を吐き出す。
煙草の煙、バーボンの琥珀色、
昨日までのすべては、箱に入れて海に沈めた。
この街に、俺の名前を呼ぶ奴はいない。
それがこの薄汚れた場所で、
綺麗に生きるための、唯一のルールだ。
真夜中、街灯の影で、
君が、あの春の終わりの匂いを連れてきた。
「まだ、生きてるの?」
君の皮肉は、昔より少し冷たくなっていた。
俺は黙って、グラスを置く。
5月のストレンジャー、
影の中を彷徨うだけの、透明な男。
雨が降ってきた。
明日のことは、
明日の風にでも聞いてくれ。


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