眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

朝の光、焦げた珈琲、最後の一本

日記

通りに面した場末のダイナー。
アクリル板の窓は、朝の光と私の体温のせいで、白く結露している。
ウェイトレスが無言で置いた、分厚いマグカップ。
注がれた珈琲は、まるで煮詰まった泥のように黒く、酷く焦げた匂いがした。
スプーンでかき混ぜる気にもなれず、
私はただ、その立ち上る湯気の向こうに、まだ少しだけ残る霧の名残を見つめている。
ポケットから引き出したラッキーストライクの箱は、もう軽い。
指先で引っ張り出した最後の一本。
オイルの切れかけたジッポーを二度、三度と擦り、
ようやく灯った小さな炎で、五月の朝の空気を汚す。
肺の奥深くに染み渡る、乾いた煙。
口の中に広がる、珈琲の苦味と煙草の雑味。
この最悪な組み合わせだけが、
私がまだ生きていること、そして新しい一日が始まってしまったことを告げていた。
窓の外では、霧がゆっくりと路面から剥がれ、消えていく。
私は煙を吐き出し、テーブルに何枚かのコインを放り出した。
席を立つ。
味のしない珈琲と、灰皿に遺した白い煙。
それだけが、私のいた唯一の証明だ_


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