眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

軋む椅子、使い古された万年筆、五月の誇り

日記

雑居ビルの三階、突き当たり。
「私」という人間の拠点は、すりガラスのドアの向こうにある。
湿気で歪んだドアを肩で押し開けると、
外の霧とは違う、何年も蓄積された紙と埃の匂いが鼻を突いた。
五月の朝の光が、ブラインドの隙間から細い縞模様を作って床に落ちている。
その光の中で、無数の埃が静かに踊っていた。
スプリングの死にかけた革椅子に深く身体を沈める。
ギィ、と古傷が痛むような低い悲鳴が上がった。
デスクの上には、数日前の新聞と、
琥珀色の輪染みがいくつも重なった、汚れの落ちないコースター。
引き出しを開ければ、クリップの曲がった使い古しの万年筆と、
数枚の端金のドル札、あるいは宛名のない古い絵葉書が一枚。
それが、私がこの街で積み上げてきたもののすべてだ。
窓の外では、完全に霧が晴れ、退屈な青空が広がり始めている。
だが、この四角い部屋の中だけは、
まだ冷たい夜の残響が、澱(おり)のように沈んだままだ。
私は目を閉じ、再び訪れるはずの、ろくでもない依頼の電話を待つ。_


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