眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

安物の錆

日記

午前二時、ネオンの墓場。
男は氷の溶けたグラスを指で弄(いじ)り、
世界の不条理を、安物の煙草とともに吐き出す。
「誰も俺を分かっちゃいない」
聞き飽きたブルースのフレーズ、今夜で何度目だ。
男の言葉は、まるで手入れを忘れたリボルバー。
引き金を引いても火を噴かず、
ただ、湿った火薬の匂いだけを部屋に充満させる。
上司の無能、社会の歪み、消えた女の薄情さ。
すべてを弾丸(たまねぎ)のように刻み、スープに沈めていく。
「なあ、お前もそう思うだろう?」
濁った瞳が、こちらの沈黙を値踏みする。
傷口はバーボンで消毒し、一人で黙って縫い合わせるも
だが男は、かさぶたを剥がしては、
他人の前に並べて見せる、哀れな見世物小屋の主人。
夜が明ければ、また乾いた日常が始まる。
男はコートの襟を立て、
戦場へ向かう兵士の顔で、満員電車に消えていく。
背中に背負った、誰のものでもない
重たい「被害者の椅子」を引きずりながら。
言葉の引き金を引くのは簡単だ。
だが、その硝煙で本当に胸を焦がしているのか?
男よ、愚痴という名の弾丸を撃ち尽くしたなら、
次は自分の足元を、撃ち抜いてみせるがいい。


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