眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

かえらない森

小説/詩

1
もう どこへもゆくことができない
深いみどりは 夜の底のように暗く
ぼくのからだを つめたく包みこむ
ここは 光のわすれていった終着駅
耳をすましても 風の音さえ絶えはてて
ただ ぼくの胸のふるえだけが響いている
すべては失われ すべてのひとは去り
ぼくはひとり 生きる形をなくしていた
2
霧のむこうから 白い馬がやってくる
けれどその姿は ひどく痩せて
悲しい眼をして ただじっとぼくを見てゐる
なぐさめの言葉など はじめから持っていないのだ
ぼくがいくら なまえを呼んでも
白い馬は こたえてはくれない
ただ ぽつねんと影を落とし
ぼくの孤独を 鏡のように映しているばかり
3
みどりの葉から ひとしずくの涙がこぼれ
夢の世界は 永遠の冬のように冷えてゆく
たすけて、と叫ぼうとした喉はかわき
ぼくは自分の影のなかに 深く沈んでゆく
めざめる間際の あの灰色につぶれた光のなか
白い馬は 二度と戻らない足どりで去っていった
あとに残されたのは ちぎれた胸の痛みと
もうだれも愛さないという つめたい誓いだけ
4
ぼくは今も 暗い部屋の片すみにすわり
あの深いみどりのなかの 絶望を想う
あの白い馬は ぼくが殺してしまった
けっして取り戻せない あしたの姿だったのだろう_


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