言霊の告白

ココロとカラダ

これは、ある破滅した男の書き置きである。
第一の手記。
私の言葉には、昔から不吉な毒が混じっていた。
言霊、という美しい響きを耳にするたび、私は吐き気がする。
私にとって言葉とは、他者を騙し、自分を切り刻むための、冷たい剃刀の刃にすぎなかったからだ。
子供の頃から、私は嘘ばかりついて生きてきた。
悲しくもないのに大声をあげて泣き、嬉しくもないのに道化のように笑った。
言葉を発すれば発するほど、私の心は空っぽになり、代わりに奇妙な影が部屋の隅にたまっていった。
言葉には魂が宿るという。
ならば、私のつむぎ続けたあの無数の嘘の塊は、一体どんな化け物になって私を監視しているのだろう。
「助けてくれ」
ある夜、私は暗闇に向かってそう呟いた。
本気だった。喉の奥から血が滲むような、本当の叫びだった。
しかし、その言葉さえも、翌朝になれば「しゃれた小説の一節」のようにしか聞こえなかった。
私の言霊は、もう、本当の神様には届かないのだ。
第二の手記。
もう、何も喋りたくない。ペンを持つのもこれが最後だ。
私の言霊が、私という人間を完全に食い尽くしてしまった。
私は言葉によって生まれ、言葉の嘘によって殺される。
これを読んでいるあなたにお願いしたい。
どうか、私の言ったこと、私の書いたものを、すべて忘れてください。
私の言葉は、すべて、ただの「恥の羅列」にすぎないのだから。
ただ、もしも。
もしも私の言霊に、ほんの少しの質量が残っているならば。
それは、あなたを呪うためではなく、
この世界の静かな夜を、汚さないためであってほしい。
さようなら。
私は、言葉の向こう側へ、行ってしまう。_


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