眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

空気頭の唄

小説/詩

ああ、重い、重い。
世間の皆様の、あの、生真面目な顔。
義務だの、愛国だの、お説教だの。
僕の耳には、それらがすべて、
どろどろに煮詰まった、お汁粉のようにしか聞こえない。
僕は、すっかり、疲れ果ててしまいました。
僕の頭のなかは、空っぽなのです。
からからに乾いた、風船なのです。
ちょっと、お嬢さんが、ため息をついただけで、
ヒュウと、お空へ飛んでいってしまう。
それの、どこが悪いのです。
一回きりの人生なんて、
はじめから、無かったのと同じではありませんか。
トマーシュ、と人は僕を呼びます。
親切で、腕のいいお医者様。
けれど、その実態は、
ただの女好きの、腑抜けの、嘘つき。
テレザ、僕をそんな目で見るな。
君の「愛」という、漬物石のような重さに、
僕の、この、か細い背骨は、
いまにも、ポキリと折れそうなのです。
僕は他の女のところへ行く。
それはね、浮気ではない。
ただの、気晴らしの、ピクニックなのだ。
サビナ、君だけが、僕の味方だ。
すべてを裏切り、すべてを捨てる、
君の、その、いさぎよい軽薄さ。
僕たちは、虚無のダンスを踊る、
二匹の、みすめらしき秋の蚊(か)だ。
戦車が来ても、知ったことか。
正義の味方に捕まって、
僕は、窓拭きおじさんに、格下げされた。
ああ、うれしい。
ガラスをキュッキュと拭いているほうが、
よっぽど、僕の、インチキな本性に合っている。
カレニン、僕の可愛い犬よ。
お前だけが、僕を叱らない。
人間は、だめだ。
重たくて、くどくて、いけねえや。
僕は、このまま、
ふわふわと、綿毛のように、
どぶ川のなかに、落ちていくのでしょう。
どうぞ、皆様、お元気で。
僕のことは、笑って忘れてください。


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