眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

光喪失のソナタ

日記


なみは 無数の宝石のやうにひかる
なみは 無数の宝石のやうにひかる
けれど 夜の影がそれをひとつづつ消してゆく
けれど 夜の影がすべてを覆ひ隠してゆく
ゆくえを忘れた鳥が 一羽だけ
きらめきを失ふ水のまにまに 消えてゆく
色をうしなふ闇のゆくすえがあるばかり
ひと声の汽笛がひびいた
光をひき裂くやうな 高いいろのひびきだつた
むかしこぼれおちた すべての時間が
ひかりとともに かき消されてゆく
汽笛は鳴る 暗がりのなかで
もうなにも戻らない

夕日は沈み すべてが闇に覆ひ隠されてゆく
港のすべてが 深い闇に覆ひ隠されてゆく
このくらい世界は
なにもみえずに 閉ざされてゆくだらうか
窓をひらけば 重くつめたい海のにおひ
遠い汽笛は まだ鳴りやまない
それは すべてを奪ひ去つた夜の
わすれられた 墓標のやうに
もうだれも こない夜の波止場で
きらめきの記憶さえ 闇にのまれるのをみつめながら
汽笛は鳴る かすかな余韻をのこして
汽笛は鳴る すべてを覆ひ尽くす夜のなかで
すべては 二度と目覚めぬ夢のやうに


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