眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

セントルイス・ブルースの残響

日記

ドアのベルが、真鍮の乾いた悲鳴を上げた。
外は雨だ。それも、俺のシャツの襟まで冷たく湿らせる、最低の雨だ。
煙草の煙がバーボンの琥珀色の水面に溶け落ちる。
ジュークボックスの針が落ち、くぐもったコルネットの音が空気を切り裂く。
セントルイスの夜だ。ミシシッピの風が、路地に迷い込んだ孤独な犬のように吠えている。
壁の肖像画のなかで、ジャック・ティーガーデンが微笑んでいる気がした。
真鍮のスライドが描き出す、あのどこまでも滑らかで、それでいて哀愁を帯びた音色。
俺はふと、グラスを掲げた。
ブルースは愛と裏切り、そしてほんの少しのスコッチがあれば、それで十分だった。
「どうした、兄さん。顔色が悪いぜ」
バーテンダーの乾いた声が、俺を現実に戻す。
俺は笑い、煙草をもみ消した。
夜はまだ終わらない。
セントルイス・ブルースが、俺の背中を押す限り、
人生は、まだ滑らかにスライドしていくのだから。

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