夏至について③
▽夏至の食べ物とは
さて、話を日本に戻します。先ほどお話しした通り、日本ではお祭りなど行事の風習はさほど多くないのですが、食の風習はどうなのでしょうか。
冬至と言えばカボチャ、というように全国的に連想される食べ物は実は夏至にはありません。ただ、各地方には夏至の時期に食べる食べ物が存在しています。
・冬瓜
全国的な夏至の食べ物が多くない中で、比較的夏の時期に連想される食べ物が冬瓜(とうがん)です。
“冬”という字が入っていますが、冬瓜は夏が旬の夏野菜です。夏バテを予防する効果が期待できるビタミンCやカリウムが豊富に含まれており、水分を多く含む冬瓜は夏至にぴったりの食べ物と言えるでしょう。
・タコ
関西では夏至の食べ物としてタコが有名です。
先ほどお話ししたように、夏至は田植えの時期と重なります。そこで「稲の根がタコの足のようにしっかり根を張るように」「タコの8本足のようにたくさんの稲穂ができるように」というように、タコと田植えを関連付けたことからタコを食べる風習ができたと言われています。
・新小麦の焼き餅
関東地方では、新小麦を使った焼き餅が夏至の食べ物として広まっています。
関東では田植えと同時に小麦を作る農家が多いことから、夏至に小麦を使った焼き餅を作るようになり、「お餅のように粘り強く物事を行うように」という意味を込めていたようです。
・半夏生餅
夏至から11日目の日を「半夏生(はんげしょう)」と言います。奈良や和歌山、大阪の一部地域では、この時期に半夏生餅を食べる風習があります。
関東の新小麦を使った焼き餅と似ており、小麦ともち米を半分ずつ混ぜて作り、きな粉をまぶして食べます。
夏至から半夏生までの田植えが終わった頃に食べるので、神様に感謝しながら豊作祈願とともに田植えのねぎらいの意味も込めて食べられるようになったようです。
・焼き鯖
福井県の大野市周辺の地域では半夏生に焼き鯖を食べる風習があります。
その起源は江戸時代にさかのぼり、現在の大野市を治めていた大野藩の藩主が田植えを終えた農民の疲労回復のために「半夏生鯖」と呼ばれる鯖の丸焼きをふるまったことが始まりと言われています。
・無花果(いちじく)田楽
無花果田楽は、尾張地方など愛知県の一部地域で夏至の日に食べられる食べ物です。
栄養が豊富に含まれている無花果を半分に切って田楽味噌をかけて食べるのですが、田楽は豊作を祈る踊りが由来とされており、健康と豊作への願いを込めて食べられるようになったようです。
・水無月
水無月は三角形の和菓子で、白いういろうに小豆を載せています。
この小豆には魔除けの効果があるとされていて、京都で夏至を少し過ぎた6月30日に行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」で、年の前半の厄を祓い、残り半年の無病息災を祈りながら食べます。
・ミョウガ
三重県を中心に夏至の時期に食べられているのがミョウガです。
夏バテ防止や食欲増進などの効果があると言われているミョウガは、半夏至餅と同じく、田植えのねぎらいの意味で食べられるようになったようです。
・うどん
香川県では、半夏生の頃にその年に収穫した小麦で打ったうどんを農作業を手伝ってくれた人たちへ、お礼の意味を込めてふるまう風習があります。
その風習から、半夏生を迎える時期の7月2日は「うどんの日」として制定されています。
▽夏至にぴったりのレシピ
夏至の時期に食べるものは実はたくさんあるのがお分かりいただけたかと思います。
では最後に夏至の代表的な食べ物である冬瓜レシピを紹介いたします。
・冬瓜の煮物
<材料 (2人分)>
冬瓜 1/3個
薄揚げ 1/5枚
粒状だし 小さじ1/2
水 200ml
すりごま 適量
小ネギ 少々
<作り方>
■ (A)
水 下茹で用 冬瓜にかぶるくらい
塩 ひとつまみ
■ (B)
みりん 小さじ1
薄口醤油 小さじ1/4
1.冬瓜に(A)をいれて、冬瓜に串が通るくらいまで下茹でする
2.水に出汁をいれて煮たったら下茹でした冬瓜と薄揚げを入れる
3.沸騰したら(B)をいれ、3分くらい煮込む
4.器に入れて粗熱が取れたら30分以上冷蔵庫で冷やす。※温かいままで召し上がりたい方はこの工程は不要
5.食べる直前にすりごまをかけて、小ネギを散らす。
参考:https://cookpad.com/recipe/7600143
夏至はこれから夏本番を迎える季節です。夏至の時期の食べ物は夏バテ防止にも効果があるとされているので、冬瓜やタコをうまく取り入れた献立で夏を乗り切りましょう。