眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

暁の夕日

日記

夜が明ける前の 深い闇のなかで
古いレコード盤が 静かに回りつづけてゐる
ビリーの歌ふ「奇妙な果実」の気だるい響きが
部屋の隅の 煙草の煙に溶けてゆく
遠い記憶のやうな青いよどみ
窓の外を見れば 東の空がかすかに震へ
夜明けを告げる 暁(あかつき)の光が生まれる
私の心にあるのは
いつか異国の砂漠で見つめた あの寂しい夕日の赤
光と影が ひとつの部屋で交差するとき
グラスの氷が カランと音を立てて崩れ落ちた
誰にも頼らず 孤独をコートの襟で隠し
時代の終わりを見つめている
あかつきの冷たい空気のなかに
燃え残る夕日のやうな ひそやかな涙の結晶(いし)が
言葉の雫となって ぽとりと胸に落ちる
古いジャズの旋律に身を委ね
目覚めぬ森の底で 次の夜を待つ


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