眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

煙るソプラノ

日記

夜はただの台帳だ
失ったものの数だけ
静かにページがめくられていく
場末のバーの片隅
ベシェの「サマータイム」が流れる
ソプラノサックスの咽び泣きが
ひび割れた心に容赦なく滑り込んでくる
あいつの吹く音は重い
まるで濡れたアスファルトだ
容赦のないビブラートが
消したはずの記憶を揺り起こす
かつて隣にいた影
今はもう、どこにもいない
夏の夜の熱気の中で
俺の指先だけが冷え切っている
グラスの底に残る、ぬるい余韻
すべては通り過ぎていく_
この哀しいメロディだけを
夜の闇に置き去りにして
ベシェの指が最後のキーを放す
音の終わりは、世界の終わりだ
祈るようなクレッシェンドも
もう俺の手には届かない
夜明けなんて来なくていい
このサックスの残響に抱かれて
ただ、静かに溺れていたいだけだ


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