眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

六月の窓4

小説/詩

かすむ六月の雨は パステル画のやうに
ひっそりとした湖畔の宿を あわく包み
窓辺に寄せるさざ波は 古いオルガンのやうに
しづかなしづかな律動(リズム)を くりかへしてゐる
ふと雲がひらけて 鏡のやうな水面のうへに
やはらかな七色の虹が 夢のやうに架かるとき
ひとつの孤影が 濡れた葦のしげみを縫って
ゆくへも定めず ひとり遠くへ歩み去る
森の奥へと消えてゆく そのうしろ姿は
いつか失はれた 美しい面影のやうに
ただひとすぢの切なさを 水際(みづぎは)にのこして
私はただ 古い寄木細工の椅子に腰かけ
消えゆく虹の色彩(いろ)と 孤影のゆくへを
寂しいこころで いつまでもみつめてゐる


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