眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

鎮魂歌(レクイエム)

小説/詩

激しい雨が ステンドグラスを叩き割らんばかりに
春の嵐は 昏(くら)い聖堂のなかにまで吹き荒れる
僕は ただひとりの寂しい個影(かげ)となり
白い花びらに埋もれた きみの棺のまえに立ちつくす
冷たくなつたきみの胸元には 一通の未開封の手紙
僕が放つた想いは もう二度と読まれることはない
やがて厳かに 地の底から響きだすオルガンの音
それは きみの魂を彼方へと送る 哀しい鎮魂歌
鍵盤が震へるたび 僕たちの幸福(しあはせ)の記憶が
あかるい光の破片(かけら)となつて 砕け散つてゆく
手紙に遺した「愛してゐる」の五文字(いつもじ)が
嵐の轟音のなかに 引き裂かれ かき消されるとき
こらへきれぬ熱い涙が 堰(せき)を切つてあふれ出づ
僕はただ 開かない手紙を抱きしめ 泣き崩れるばかり


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