眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

6月嵐の後の虹

ココロとカラダ

ああ、ひどい雨だった。
まるで僕のくだらない自意識が、
空いっぱいに溢れ出て、
街中をめちゃくちゃに汚してしまったみたいに。
トタン屋根を叩く執拗な雨音に、
僕は毛布を頭からかぶって、
ただ、じっと死んだ真似をしていたのだ。
「幸福なんて、僕には似合わない」
そう呟くことだけが、
僕の唯一の、みじめな権利のようだったから。
けれど、雨はあがった。
6月の、じっとりと汗ばむような風が、
僕の額の髪を、いい加減に撫ぎてゆく。
おそるおそる窓を開けると、
濡れた紫陽花が、やけに鮮やかな青で僕を睨んでいる。
まるで、生き恥を晒す僕を、
憐れむような、あるいは嘲笑うような目で。
ふと、見上げれば、
濁った雲の切れ間に、
頼りない、じつに頼りない七色の筋。
虹だ。
仕方のない、美しい、おせっかいな虹だ。
あんな風に空に突っ立って、
「それでも生きよ」とでも言いたげに、
僕の薄暗い部屋を、わざわざ照らしにくるのだから。
僕は、にが笑いをする。
あんな綺麗なもの、僕には、これっぽっちも資格がない。
神様が、僕のような道化をからかうために、
空へ描いた悪戯(いたずら)に違いないのだ。
けれども、
ああ、けれども。
あの光の足元へ行って、
冷たい水溜まりに映る自分の、
しまりのない顔を眺めながら、
もう一度だけ、
「生まれてきて、すみません」ではなく、
「生きていても、いいのかしら」と、
気弱に首を傾げてみたくなる。
6月の嵐の後に、
あんな間の抜けた、美しい架け橋を架けるなんて、
やっぱり神様も、僕に負けず劣らず、
ずいぶんと寂しがり屋の、ロマンチストなのだ。


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