眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

スイカズラのバラ

小説/詩

さうしてスイカズラの白い花はかたみに寄り添ひ
甘い香りをひそませて風のゆくへを待つてゐた
私はおまへの影をふみわけてこの道にかへり來た
あざやかなバラの紅(べに)が夕闇のなかにほのめく
わすれられたおもひではいつも空しいものだらうか
いや、ちひさな花びらのやうに私の胸のなかで顫(ふる)へてゐる
いつか夢みたやうなやはらかなひかりのなかで
おまへはまた微笑んでくれるであらうか
風がそよぐたびにおまへの匂ひがここちよくゆれる
あの日のやうに、時間はとまり、ただ私と世界だけが
水面の影のやうにきらめいて消えてゆく
たそがれの空はあまりにも青く、あまりにも遠い
おまへのやさしい指先にふれることさへかなはぬまま
私はふたたびこの静かな庭のほとりに佇んでゐるのだ


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