眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

晩夏(ばんか)の貌

小説/詩

若くもないのに美貌が、残っている。
それは幸福ではなく、むしろ、神が回収し忘れた
酷な手土産のようで、私はただ、途方に暮れる。
若さという免罪符は、とうに失くした。
それなのに、鏡のなかの顔だけが、
いまだに、かつての華やかな罪の匂いを放っている。
まるで、とっくに枯れたはずの庭園に、
一輪だけ、毒々しく咲き残った薔薇のように。
街を歩けば、人は私を振り返る。
けれどその視線は、かつての賛美ではなく、
「まだ、あそこにいる」という、奇妙な怪物を見る目のようだ。
私はただ、老いてゆく肉体のなかで、
その整いすぎた骨格だけを、重い荷物のように引きずっている。
ああ、いっそのこと、すべてが醜く崩れてしまえばよかった。
そうすれば、私は大手を振って、
この世のどん底へ、喜んで転がり落ちていけたのに。
中途半端な美しさが、私をこのまともな世界に、
細い蜘蛛の糸で、かろうじて繋ぎ止めてしまう。
「お若いですね」という言葉の裏にある、
哀れみと、かすかな嫉妬の棘。
私はその棘を、わざと胸の奥深くに突き刺して、
にやにやと、自嘲の笑みを浮かべるのだ。
神よ、引き取るなら、すべてを一度に持っていってくれ。
魂も、記憶も、そしてこの、
若さを失ってもなお、無駄に美しいままの、
忌まわしい仮面のような貌も。
私はもう、この美しい檻のなかで、
これ以上、歳をとる芝居を続けるのには疲れてしまった。


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