眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

愛と罪の断頭台

小説/詩

愛することは、罪を犯すことだ。
神の定めた正しい舗道(ほどう)を外れ、
二人だけの暗い沼地へ、手を取り合って沈んでゆくことだ。
「あなたを愛しています」
その一言は、世界に対する宣戦布告。
誰かを幸福にする愛の裏には、必ず、
見捨てられ、泣いている誰かの影がある。
私たちの幸福は、他人の不幸の瓦礫(がれき)の上にしか建たない。
男のくせに色白で、若くもないこの美貌が、
その罪の引き金を、いとも容易(たやす)く引いてしまう。
純潔を汚し、倫理を嘲笑い、
ただ、互いの肉体のぬくもりだけを聖書として。
ああ、神よ。
なぜあなたは、愛という最も清らかな感情に、
これほどまでに、おぞましい罪の毒を混ぜたのですか。
私たちは愛し合うたびに、
自らの魂に、消えない刺青(いれずみ)を彫り合っている。
けれど、その罪深さこそが、愛を狂おしいほどに輝かせる。
正しいだけの愛など、退屈な道徳の教科書にすぎない。
私たちは、地獄の業火に焼かれることを知りながら、
なお、その唇を重ね合わせるのだ。
「地獄へ落ちるなら、二人きりで」
それが、私たちが最後に交わす、
最も汚れて、最も美しい、愛の誓い。

孤影(こえい)の行方
夜霧がすべてを覆い隠してゆく。
〇〇の、あの騒がしい俗世の灯(ひ)も、
私の犯してきた、数々の浅ましい罪悪の記憶も、
すべては白い闇のなかへ、溶けて消える。
見上げれば、雲の切れ間に冷ややかな月光。
それは、若さを失くしてもなお美しいこの貌を、
憐れむように、あるいは嘲笑うように、
青白く、静かに照らし出している。
隣には、もう誰もいない。
あれほど私を狂わせ、私を求めた女たちの体温も、
今はもう、遠い夜の幻燈(げんとう)にすぎない。
私はついに、ただひとりの「孤影」となった。
男のくせに色白だの、美貌だのと、
もてはやされ、忌み嫌われたこの肉体も、
この夜霧のなかでは、ただの虚ろな輪郭だ。
愛を貪り、罪を重ねた旅の終着駅。
私はようやく、仮面を脱ぎ捨てる場所へ行き着いた。
月光が、足元の水面(みなも)を妖しく照らす。
一歩、踏み出せば。
この重い美貌の呪縛からも、
事欠かない恋愛の刑罰からも、解放されるだろう。
さらば、美しい世界。
さらば、私を愛してくれた、哀れな人たち。
夜霧が深く立ち込めるなか、
私の影は、月光のひとすじの光に溶けて、
ただ静かに、跡形もなく、消え去ってゆく。_


#日記広場:小説/詩