眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

想いでのアンカレッジ

日記

鉛色の空がアンカレッジの波止場に落ちてくる。
ダッフルコートの襟を立てて、俺はジッポの火をつけた。
吹き抜ける極北の風が、火種を一瞬で奪い去っていく。
酒場のジュークボックスにコインを滑り込ませた。
針が落ち、スピーカーから溢れ出たのはビル・エヴァンスの『My Foolish Heart』。
凍りついた街のノイズが、ピアノの繊細なタッチに削り取られていく。
「馬鹿げた心さ、あんたもそう思うだろ?」
隣に座った男が、氷の溶けきったグラスを傾けて呟いた。
俺は何も言わず、琥珀色のバーボンを一気に煽る。
ここは最果ての街だ。秘密はすべて、この冷たい海に沈む。
哀愁を帯びた和音が、まるで降り積もる雪のように胸の奥へ染み渡っていく。
追憶の彼方へ、指先が鍵盤を滑るように。
俺たちはただ、この切実なメロディに身を委ねるしかなかった。


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