眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

星屑の森によせて3

小説/詩

微かな風が、色褪せた鍵盤をなでてゆく。
追憶のなかでだけ、その歌は静かに響きつづける。
星屑の森によせて
だれもいない、がらんとした部屋のすみに、
古いオルガンが、ぽつねんと眠っている。
星の光が、窓のすきまからそっと忍びこんで、
象牙(ぞうげ)の鍵盤を、淡い銀色に染めていた。
むかし、そこには、
硝子(がらす)細工のようになめらかな、細い指があった。
もう、けっして触れることのない、あのやわらかな指先が、
あえかな音階(おんかい)を、ひとつ、ひとつ、紡いでいた。
風が、梢(こずえ)をゆらしてすぎてゆく。
まるで、だれも弾かない鍵盤を、そっとためしに押すように。
僕の胸の奥で、かすかに鳴る、さびしい和音。
それは、いちどきりの幸福(しあわせ)の、ちいさな残響。
星屑の森の、しずかな夜の底。
僕は、目をとじて、ただ、聴いている。
もう二度と、だれも訪れることのないその場所で、
消え入りそうな、オルガンのうたを。_


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