眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

やさしい崩壊のうた

小説/詩

風が かすかな光の粒をはこんできて
ぼくの指先に そっとふれては消えてゆく
きみがそこにいるのか どこへゆこうとするのか
ぼくにはどうしても たしかめることができない
位置を定めようとすれば 速度(あしどり)がにげ去り
ゆくえを追おうとすれば 姿が見えなくなる
まるで つめたい数式のなかで迷子になった
ぼくたちの はかない約束のようだ
きみはひとつの波だった だれにも見られないあいだは
ひろがる青い夜のなかで どこにでもゆけたのに
ぼくがそっと眼をひらき きみを見つめたそのとき
きみはひとつの点になって 凍りついてしまった
ああ ぼくが触れなければ きみは自由だったろうに
ぼくのまなざしが きみの形を決めてしまった
風のなかにのこされた ひとつの小さな部屋で
ぼくは失われた波の歌を いつまでも聴いている


#日記広場:小説/詩