眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

かえらない光のために

小説/詩

追憶のなかの部屋 「二度と戻れない過去への郷愁」「音楽の途絶」という世界観を、光さえも二度と戻ることができないブラックホールの境界線「事象の地平面(イベント・ホライズン)」に重ねた詩編です。


あそこから先は もう風も言葉もとどかない
きみがそっと踏みこんでいった 静かな境界線
どんなにぼくが手をのばし その名前を叫んでも
きみの時間の調べは そこで永遠に凍りついてしまう
ふりかえるきみの髪が 夕映えのなかにとどまり
まるではかない絵画のように そこに佇んでいるけれど
きみの本体はもう 無限の闇の底へと落ちてゆき
ぼくのまぶたには 最後の光の幻影(まぼろし)だけがのこる
時間のあしおとが 不意に引きのばされてゆく
ぼくたちのあいだの距離は 永遠という名のすきまになり
あちら側からは ひとつの溜息さえもこぼれてはこない
すべてを吸いこむ沈黙が ぼくの部屋の窓を濡らしている
ああ 二度と引き返せないあの場所を ひとは何と呼ぶのだろう
ぼくの記憶の地平線に ぽつんと残されたきみの影
ぼくはただこちらの岸辺で ちぎれた歌のつづきを口ずさむ
きみのいない冷たい夜が ゆっくりと更けてゆくのをみつめながら


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