眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

やさしい終焉

小説/詩

「優しく引き裂かれてゆく世界」を、宇宙の膨張が加速し、最終的には分子や原子、時間そのものまでがバラバラに引き裂かれて終わるという終末理論「ビッグリップ(大引き裂き)」に重ねた詩編です。

むかしぼくたちが築いた 小さな部屋のまわりで
風がすこしずつ その歩みをはやくしてゆく
すべての距離が ぼくたちの手のひらからこぼれ
はるかな星たちも 夜のすきまへと引き離されてゆく
やがてこの窓も きみと紡いだやさしい言葉も
お互いをむすんでいた 目に見えない細い糸さえも
みんな みんな あかるい虚無のなかへと引き裂かれ
ひとつの形をとどめることも 許されなくなるだろう
光はひきちぎられ 時間はその調べを失って
ぼくの指先も きみの髪のなめらかな翳(かげ)も
ただ青いパステルの粉のようになって 散らばってゆく
それはなんて静かで 寂しいお別れなのだろう
ああ 世界がこれ以上 ひろがってしまうその前に
ぼくのなかのいちばんちいさな 記憶の破片のなかで
きみの名前を そっとつぶやいていたい
なにもかもが 透明な粒子になって消え去るとしても


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