眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

真夜中の墓標

日記

_久々に日記_
錆びたフェンスをすり抜ければ
そこは、時間が止まった骸(むくろ)の街
月光に照らされた回転木馬は
誇り高き沈黙を守っている
「ねえ、夜の遊園地って、大きな墓標みたいね」
彼女は動かない観覧車を見上げ
子供のような純粋さで、残酷に微笑んだ
昼間の喧騒は、遠い過去の幻
「誰もいない場所でしか、息ができないの」
彼女の華奢な指先が、冷たい鉄柱に触れる
その体温さえ、夜の静寂に吸い込まれていく
「なら、ここで朝を待とう」
俺は上着を脱ぎ、彼女の肩にかけた
動かない絶叫マシン、消えたネオン、凍りついた時間
世界に俺たちだけが取り残されたような
美しく、静かな、終わりの始まり
東の空が、ゆっくりと白んでいく
夜の魔法が解けるように
霧が、眠る遊園地を白く包み込んでいった
「もう、行かなくちゃ」
彼女の肩から、俺の上着が滑り落ちる
受け取った上着には、かすかに
あのバーの、煙草とバーボンの香りが残っていた
「朝の足音が、もうすぐそこまで響いてる」
彼女は一度だけ振り返り
朝霧の向こうへ、一歩、足を踏み出す
その姿は、最初から幻だったかのように、かすんでいく
「名も知らぬ君へ」
俺は声には出さず、心の中で呟いた
引き止める言葉も、追いかける足も、俺にはない
それが、この夜の暗黙のルールだから
振り返る彼女の輪郭が、白い霧に溶けていく
残されたのは、動き出そうとする世界の音と
俺のポケットに残された、小さな銀の鍵だけ
朝霧がすべてを覆い尽くし
俺たちの夜は、静かに終わりを告げた_


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