眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

都会の駅 オルゴール

小説/詩

せは(わ)しいひと波がゆき交ふ 都会の駅のホーム
ひるさがりの乾いた光が 硝子(ガラス)の天井からこぼれ
ぼくはひとり 古びたトランクを足もとに置いて
錆びついた鉄路の はるかなつづきを見つめてゐる
ポケットのなかの 小さな小さなオルゴール
ぜんまいを巻けば あおい高原の風のやうに
あの夏の日のしらべが ひそやかにひびきだす
人混みのなかで ぼくだけに聞こえる約束のうた
それは機械の奏でる つめたい音のはずなのに
どうしてこれほど ぼくの胸をあたたかく揺らすのだらう
耳をすませば あのかすかな鈴蘭のゆれる音までが
いつかふたたび あの星屑のそらの下へ帰るまで
この小さな音色(ねいろ)を ぼくの道しるべにしよう
騒がしい街のなかに ぼくの静かな故郷をだきしめて_

結びにかへて
ぼくのノートの いちばん小さな空白に
あおい高原の風が いまも一つきらめいてゐる
さようなら ぼくの愛したすべての幻影(まぼろし)たち
またいつか あの星屑のそらの下で逢ひませう


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