眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

寂れた温泉宿から

小説/詩

裂けた岩肌から、白く、かそけき霧は立ち
ゆらぎながら、青い空へと消えてゆく
それはむかしの人が忘れた、ため息のやうに
誰もゐない斜面を、ひそかに濡らしてゐる
谷の底には、いつかひとの造ったみづうみ
鏡のやうに、動かぬ雲を映してゐる
その底ひには、沈んだ村の、或る日のひかり
静けさだけが、いまは、深く湛へられて
あたたかな煙は、つめたい風にさらされ
どこへ行くともなく、たゆたひ、はぐれ
旅人のこころを、あてどなく誘ふ
私はただ、この岩のほとりに佇み
失はれたものたちの、かすかな声をきく
夏のひるさがりの、かなしい夢のなかで
***


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